慢性的に人手不足の介護業界に、AI技術を投入する動きが出ている。多くの介護施設で導入されているのが、介護記録のためのモバイル導入だ。これまでサービス終了後に記憶を頼りに介護記録をパソコン入力していたのが、利用者とコミュニケーションを取りつつリアルタイムでタブレットなどに入力することで、残業だけでなく記入漏れやミスも減らすことが可能となった。また、すぐにスタッフ間で情報共有ができ、業務効率化を図ることもできる。
さらに赤外線センサーを使ったICT見守りシステムを導入することで、利用者の転倒や転落を防ぐことに成功している施設もある。これは利用者のシルエットを赤外線で捉えて、転倒や転落を察知し、スタッフの端末にアラームで知らせてくれるシステムだ。状況に応じてアラーム音が変えられるので、緊急かどうかの判断も簡単である。
そして、いよいよロボットが身近に感じられる時代も来ている。例えば移乗ロボットは身体介助を楽にしてくれる画期的な道具の一つだ。様々なメーカーが開発していて、種類は多岐にわたる。
そのなかでも介助者が装着するタイプのものは、スタッフが移乗介助するときの腰などの負担を軽くできるといった利点がある。反対に利用者に装着するタイプには吊り上げ型リフト式移乗機などがあり、これは通常2名以上の介助者で行うところ1名で済むという点、と身体的負担を軽減できる点がメリットだ。こうした道具が取り入れられている施設では、利用者も介助者も楽になり笑顔が増える傾向が強い。今後もAI技術が生かされた介護施設は増加していくことが予測できる。